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上場するための条件とは?市場別の基準と準備手順

公開: 2026-10-21 / 更新: 2026-10-21 ・ 読了 約5分

この記事の要点

  • 上場条件は市場ごとに異なり決算年数・時価総額・株主数の3軸で構成される
  • DEMは決算1年分・時価総額2,000万ルピー程度・株主100人以上が条件
  • 公式市場は決算3年分・株主200人以上・一般株主持ち分25%以上が必要

上場するための条件は「どの市場か」で変わる

株式上場の条件は、一律の基準があるわけではなく、どの証券取引所の、どの市場区分を目指すかによって大きく異なる。国内の市場を目指すのか、海外の市場を目指すのかによっても、求められる決算実績・株主数・時価総額の水準はまったく違うため、まず「どの市場の条件か」を切り分けて考える必要がある。

国内市場については、東京証券取引所が市場区分ごとの上場基準を公表しており、プロ投資家向けの東京プロマーケットという枠組みもある。東京プロマーケットは2009年にTOKYO AIMとして開設され、2012年7月に現在の名称になった、特定投資家(プロの投資家)向けの市場だ。国内市場の基準は改定されることがあるため、数字の細部は日本取引所グループの公式案内で確かめる必要がある。

海外市場の条件を知ることで「条件の考え方」が見える

国内市場の基準だけを見ていると見落としがちだが、上場条件は「決算実績の年数」「時価総額」「株主数・持ち分比率」という3つの軸で組み立てられていることが多い。この構造を理解するために、条件が公開されているモーリシャス証券取引所(SEM)の例を見てみる。

SEMには、公式市場(Official Market)と新興市場(Development & Enterprise Market・DEM)という2つの市場区分があり、監督は金融サービス委員会(FSC)が行う。

DEM(新興市場)の条件

DEMの上場条件は、決算書1年分を国際会計基準(IFRS)で作成し、国際監査基準(ISA)に基づく限定のつかない監査を受けていることが求められる。上場時の時価総額は2,000万ルピー以上(2026年10月14日の為替で日本円約6,700万円程度。1ルピー=約3.33円。為替で変動するため「約」が付く)。株主数は100人以上、かつ一般株主の持ち分10%以上という、別々の2つの条件を満たす必要がある。この2つを混同し「100人の一般株主が10%を持てばよい」と誤解するケースがあるが、株主数と持ち分比率はそれぞれ独立した基準だ。実績がまだない会社でも、独立した財務アドバイザーが認めた3年分の事業計画があれば申請できる制度がある。詳細はDEMの上場条件で確認できる。

公式市場の条件

公式市場は、DEMより実績要件が重い。決算書3年分が必要で、時価総額は同じく2,000万ルピー以上。株主数は200人以上、かつ一般株主の持ち分25%以上が求められる。ただし持ち分比率については、最初15%・3年以内に20%・5年目までに25%という段階方式も用意されている。条件の詳細は公式市場の上場条件のページにある。

なお、SEMには2024年12月、アフリカの成長企業向けの新しい区画「SEMX」ができている。2018年10月には、資産または売上の半分以上がモーリシャス以外のアフリカにある会社を対象とする「Africa Board」も設けられた。上場会社数は公式市場57社・DEM33社(2025年末時点、取引所のファクトブックによる)で、2010年以降に新規上場した255銘柄(株式・債券などを含み、会社数ではない)のうち124銘柄が海外の発行体という実績もある。取引所の概要はSEM at a glanceで確認できる。

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上場準備で必ず押さえる3つの軸

条件を満たすための準備は、大きく3つの軸で進むことが多い。1つ目は監査と決算書の整備である。国際会計基準や各市場が定める会計基準に対応した決算書を、限定意見のつかない形で監査法人から受け取る必要があり、監査実績がまだない会社では、この過去決算の整備がもっとも時間のかかる工程になりやすい。2つ目は資本政策と企業統治の整備であり、株主構成や取締役会の体制を、目指す市場の基準に合わせて組み直す作業が発生する。3つ目は申請書類の作成と当局・取引所とのやり取りで、照会への回答を重ねながら審査が進む。

失敗しやすいケースとしては、監査対応を後回しにした結果、過去の決算データが国際基準の要求水準に届かず、監査意見の取得に想定より長い時間がかかるという例がある。また、株主数や持ち分比率の条件を「上場時点で一度満たせばよい」と誤解し、上場後の維持義務を見落とすというケースも見られる。実際、DEMでは一般株主の持ち分が10%を下回っても、1年以内に戻すと約束すれば取引所が認めることがある(DEMの規則第31.3条)という救済的な仕組みもあり、条件は「一時点の数字」ではなく「継続的に守るべき水準」として捉える必要がある。

誰に何を依頼するか:役割分担の考え方

上場準備では、関わる専門家の役割を正しく理解しておくことが重要だ。DEMの規則(2019年11月改定版)第32条では、DEM上場会社は「コーポレート・アドバイザー」(取締役に規則遵守を助言し、取引所との連絡窓口となる役割)をできる限り常に置くことが定められている。DEMの規則には「スポンサー」という呼び方は存在しない。一方、公式市場の上場規則(2020年4月改定版)第4.2条では、申請中も上場後も、取引所に登録されたスポンサーを置く義務がある。さらに海外の会社については、同規則第15.4条により、モーリシャス国内で書類を受け取る代理人を置く必要がある。

役割は大きく2つに分けて考えるとわかりやすい。1つは日本側の取りまとめ役で、上場戦略の設計・工程管理・資料作成・現地専門家との連絡を担う。もう1つは現地の専門家で、コーポレート・アドバイザーやスポンサー、現地の弁護士、監査人、証券会社などがこれにあたる。取引所・当局への正式な申請は、資格を持つ現地の専門家が行うものであり、株式の募集・売り出し・勧誘についても、その国で免許や登録を持つ証券会社などの業務であって、取りまとめ役が代行できる仕事ではない。

上場までの一般的な流れ

上場準備は、一般的な例として次のような流れで進む。まず現状分析と計画立案の段階で、事業・財務の調査、上場形態の設計、専門家の選定を行う。次に監査と決算書の整備に進み、国際会計基準などへの対応を進める。続いて申請書類の準備段階では、上場書類や事業計画の作成、法務・企業統治の整備を並行して進める。その後、取引所・当局への申請と審査に入り、照会への回答を重ねる。審査と並行して投資家向けの説明資料や募集の準備を行い、最終的に上場・売買開始となり、その後は継続的な開示義務を果たしていくことになる。この流れに要する期間は会社の状況によって大きく異なり、特定の期間や上場の成立を約束するものではない。上場の可否や時期は、最終的に取引所と当局の判断によって決まる。

国内で上場を検討している場合も、東京証券取引所の各市場区分や東京プロマーケットについて、日本取引所グループの公式情報で最新の基準を確認し、会計・法務の専門的な判断については監査法人や弁護士など専門家に相談することが欠かせない。モーリシャス証券取引所のように通貨面で柔軟な市場もあり、SEMでは米ドル・ユーロ・英ポンド・南アフリカランド・ルピーの5通貨で売買・決済ができる。海外市場を検討する際は、金融サービス委員会など監督当局の公式情報も合わせて確認したい。

よくある質問

Q. 上場するための条件は国内と海外で違いますか?
A. はい、市場ごとに決算実績の年数・時価総額・株主数などの基準が異なります。国内は日本取引所グループ、海外市場はそれぞれの取引所の公式情報で確認する必要があります。
Q. 実績がない会社でも上場を目指せますか?
A. 市場によっては、独立した財務アドバイザーが認めた事業計画があれば申請できる制度もあります。ただし採否は取引所・当局の判断によるため、専門家への相談が前提になります。
Q. 上場準備で最初に取り組むべきことは何ですか?
A. 一般的には、事業・財務の現状分析と上場形態の設計、専門家選びから始まり、その後に監査や決算書の整備へと進むケースが多く見られます。
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